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徳島地方裁判所 昭和41年(わ)408号 判決 1968年6月17日

本店所在地

徳島市佐古八番町四番二六号

商号

有限会社魚勘商店

代表者の住居

徳島市佐古八番町四番二六号

同氏名

魚谷幸男

本籍

徳島市佐古八番町佐一五の二番地

住居

徳島市佐古八番町四番二六号

会社代表取締役

魚谷幸男

昭和七年九月七日生

右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官上野治出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人有限会社魚勘商店を罰金一、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人魚谷幸男を罰金五〇〇、〇〇〇円に各処する。

被告人魚谷幸男において右罰金を完納できないときは金二、五〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社魚勘商店は本店を徳島市佐古八番町四番二六号に置き、乾物、食料品、海産物等の販売を業として営むもの、被告人魚谷幸男は被告会社の代表取締役として同会社の業務一切を総括処理しているものであるが、被告人魚谷幸男は被告会社の業務に関し、法人税をほ脱する目的を以て、売上の一部を正規の帳簿に記載せず、また架空経費を計上し、これらを簿外の架空名義の預金にして所得を秘匿するなどの不正の行為により、昭和三九年一二月一日から昭和四〇年一一月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が別紙記載のとおり六、六四八、一〇二円で、これに対する法人税額が二、二六六、一三〇円であつたにもかかわらず、昭和四一年一月三一日徳島税務署において、同署長に対し、所得金額が三、二〇二、四一二円の赤字で法人税額が零円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、以て、被告会社の同事業年度における正当な法人税額二、二六六、一三〇円をほ脱したものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一、被告会社代表者兼被告人魚谷幸男の当公判廷における供述

一、被告会社代表者兼被告人魚谷幸男の検察官に対する各供述調書、および収税官吏に対する各質問てん末書

一、証人田村豊の当公判廷における供述

一、田村豊の検察官に対する供述調書

一、押収してある元帳六冊(昭和四二年押第九〇号の一、二)

被告会社の営業内容および被告人魚谷が代表取締役である事実につき

一、登記官作成の登記簿謄本

一、被告会社の定款写

確定申告および公表所得に関する事実につき

一、徳島税務署長作成の証明書

簿外の普通預金の事実につき

一、株式会社四国銀行徳島西支店の普通預金元帳写

一、株式会社百十四銀行徳島支店の普通預金元帳写

一、株式会社伊予銀行徳島支店の普通預金元帳写

簿外の定期預金の事実につき

一、株式会社四国銀行徳島西支店の定期預金元帳写(三井あや子名義のものを含む)

一、株式会社百十四銀行徳島支店の定期預金元帳(原票)写

一、株式会社伊予銀行徳島支店の定期預金元帳写

一、株式会社阿波銀行佐古支店の定期預金元帳写

一、押収してある小山善二名義定期預金元帳一枚(同号の三)、および三井あや子名義定期預金元帳一一枚(同号の四)

簿外預金、架空経費の計上、および別表(Ⅰ)の3、(Ⅱ)の1、2に関する事実につき

一、魚谷英子の検察官に対する供述調書

架空経費の計上の事実につき

一、長岡英子、瀬川清家の検察官に対する各供述調書

別表(Ⅰ)の3、4および(Ⅱ)の2に関する事実につき

一、株式会社四国銀行徳島西支店の手形貸付元帳写

一、株式会社伊予銀行徳島支店の手形貸付元帳写

別表(Ⅰ)の3に関する事実につき

一、向井恵子の検察官に対する供述調書

別表(Ⅱ)の1に関する事実につき

一、押収してある棚卸表一冊(同号の五)

別表(Ⅱ)の2に関する事実につき

一、藤川金次郎の検察官に対する供述調書謄本

(法令の適用)

被告人魚谷幸男の判示所為は法人税法一五九条一項に該当するので所定刑中罰金を選択し、その金額の範囲内で同被告人を罰金五〇〇、〇〇〇円に処することとし、なお刑法一八条を適用して同被告人が右罰金を完納できないときは金二、五〇〇円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置すべく、次に被告人有限会社魚勘商店に対しては、代表者たる被告人魚谷幸男がその業務に関し判示所為をなしたものであるから、法人税法一六四条一項に則り同法一五九条一項所定の罰金を科すべく、その金額の範囲内で被告会社を罰金一、〇〇〇〇、〇〇〇円に処することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 田村承三)

(別紙)

被告会社の自昭和三九年一二月一日至昭和四〇年一一月三〇日の事業年度における所得計算(次表は犯則関係分)

(Ⅰ) 犯則益金 (Ⅱ) 犯則損金

<省略>

<省略>

右によつて被告会社の同事業年度の犯則所得は九、八五〇、五一四円((Ⅰ)、(Ⅱ)の犯則合計の差額)となり、これより公表の所得の赤字三、二〇二、四一二円を減じた六、六四八、一〇二円が被告会社の同年度における実際の所得金額となる。

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